気象庁予報業務許可 第51号
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気象お役立ち情報

放射冷却って何?

2023-10-12

秋も深まり日に日に朝晩の冷え込みも厳しい季節となってきました。
この時期になってくると天気予報などでよく「放射冷却により冷え込みが厳しくなる」という言葉を耳にしませんか?

今回はその「放射冷却」についてお話したいと思います。

放射冷却とは簡単に言うと物体が周囲に熱を放射し、温度を下げる現象です。
天気予報で言う「放射冷却により冷え込みが厳しくなる」とは地面の熱が放射によって奪われ、
気温が下がることを指します。


■「放射冷却」のメカニズム

 放射冷却は昼夜問わず常に起こっています。
 地球は太陽からの熱を受け取ります。一方で地球も赤外線を宇宙へ放出しています。
 昼間は太陽の日差しがあることによって地表面が温められるので目立ちません。
 夜になると太陽からの日差しによる地表面の暖めがなくなり、地球から放射されるだけになってしまうため
 気温がぐんぐん下がっていきます。


■「放射冷却」が強まる条件

 ①よく晴れていること
 雲が多いと布団のような役割となって、熱が空へ逃げなくなります。
 また雲が熱を吸収して地表に熱を放射する役割もあります。

 ②空気が乾燥していこと
 空気が湿っている(水蒸気が多い)と、水蒸気が雲と同じような役目となり、冷え込みを弱めます。
 
 ③風が弱いこと
 風が強いと空気がかき混ぜられるため、熱を逃がしにくくなります。
 風が弱いと熱がスムーズに空へと逃げやすくなります。

放射冷却画像

 

つまり、熱が上空へ逃げやすい環境であればあるほど放射冷却は強まるということになります。


■「放射冷却」に伴う気象

 ・
放射冷却によって地面付近の空気が急速に冷却されると、上空よりも気温が低くなり接地逆転層という
  種類の逆転層が発生することがあります


 ・接地逆転層が都市部で発生すると、大気汚染物質が上空へ逃げられなくなりドーム状に閉じ込められる
  「ダストドーム」と呼ばれる現象が発生することもあります。

 ・湿度が極端に低くないとき、放射冷却によって地面付近の空気が急速に冷却されて露点温度に達し、
  放射霧という種類の霧が発生することがあります。

 ・放射冷却により気温が4℃を下回ると霜害が発生しやすくなります。
  霜害は農作物や果樹に大きな被害を与えることがあります。


放射冷却により冷え込みが強まりそうな日は寝冷えしないよう暖かくして寝る準備をしてください。

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