気象庁予報業務許可 第51号
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被害は災害級!?爆弾低気圧とは

2024-03-29

最近は段々と気温が上がり、日本列島では桜の開花ラッシュが訪れています。
皆さまはいかがお過ごしでしょうか?


春は、暖かい陽気の日が多いようなイメージです。
しかし、毎年「春の嵐」と呼ばれるように、強風・暴風によって荒れた天気になることも珍しくありません。

そして、この「春の嵐」とともによく取り上げられるワードがあります。
それが、「爆弾低気圧」いわれるものです。

今回はそんな「爆弾低気圧」についてご紹介します。
インパクトのある名前ですが、その名の通り大きな被害を出すこともある現象ですので、知っておくことで役に立つ場合があります。お時間のある方はぜひご覧ください。

目次
●「爆弾低気圧」とは?
●「爆弾低気圧」と「台風」の違い
●「爆弾低気圧」が引き起こす被害
●「爆弾低気圧」の被害を防ぐために 

●さいごに


■爆弾低気圧とは
爆弾低気圧は、元は、アメリカの気象学者の中で1980年代に提唱された定義で、英語では「Bomb cyclone」または「explosive (developing) cyclone」とも呼ばれます。
「explosive」は爆発物のことなので、海外でも爆発を想起させる現象だと認識されていることが分かります。
では、なぜこのような物騒な名称がついているのでしょうか?

気象庁は爆弾低気圧という表現を使わず、気象の状態をより的確に表現するため、「急速に発達する低気圧」などといいます。

このように、短時間での急激な変化のことを「爆発」と表現しているわけです。


■「爆弾低気圧」と「台風」の違い

次に、爆弾低気圧の性質についてみていきましょう。

世界気象機関(WMO)の定義では、爆弾低気圧は、中心気圧が24時間以内に24hPa×sin(φ)/sin(60°)以上低下する温帯低気圧(φは緯度)を指すとされています。

このままでは難しいのですが、先ほど述べた通り、気象庁はこれを「急速に発達する低気圧」と表現しています。
具体的には、南からの暖気と北からの寒気がぶつかり合い、その温度差によって急速に発達します。

この性質によって冬から
にかけて春の嵐をもたらし、暴風や激しい雨など大荒れの天気をもたらします。

これだけだと台風に似ていると思われるかもしれません。
しかし、爆弾低気圧の恐ろしさは広い範囲で暴風をもたらすというところにあります。

下の図を見ていただくと、強い風が吹く範囲(ピンク色)の大きさの違いが一目で分かります。


出典:政府広報オンライン(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201304/2.html)


■「爆弾低気圧」が引き起こす被害
昭和45年1月に日本列島を襲っ爆弾低気圧は、各地に大雨・大雪・暴風・高波・しけをもたらし、死者・行方不明者25人、住宅被害5,000棟以上、船舶被害293隻のほか、護岸の決壊や海難事故も相次ぐなど、大きな被害となりました。

気象庁は「顕著な災害をもたらした自然現象」として、「昭和45年1月低気圧」と名前を付けました。
台風や豪雨に名前をつけることはありましたが、温帯低気圧に対して命名することは異例のことで、現在でも唯一の事例です。


また近年では、2012年4月3日に日本海を北東進しながら急速に発達した爆弾低気圧が4日から5日にかけて日本列島に接近・横断しました。
2⽇夜の時点で1006hPaであった低気圧が、3⽇朝から急速に発達をはじめ、夜には964hPaに達しました。(下図参照) 

この影響で広い範囲で強風が吹き荒れ、75の観測地点で観測史上最大の風速を観測しました。

北は北海道から南は鹿児島まで各地で被害が発生し、日本国内では計5人が死亡したほか、350人以上が負傷しました。

「爆弾低気圧」は、この年の流行語にも選ばれ、以後広くその恐ろしさを伝える名称として一般に定着しています。
 

気象庁:「
平成24年4月3日から5日にかけての暴風と高波」(https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/2012/20120403/20120403.html) 
をもとにシスメット株式会社作成



このように爆弾低気圧は、そう呼ばれるだけの甚大な被害や影響を広範囲に与える特徴をもっています。



■「爆弾低気圧」の被害を防ぐために
爆弾低気圧の被害を防ぐためには、まず、情報を収集することが大切です。

天気予報等で「急速に発達」「急発達」などのワードが出始めた時点で具体的な対策を検討する必要があります。

上記の例にもある通り、広い範囲で天気が大荒れとなり、局地的な大雨、落雷、竜巻、突風、ひょう、あられ等さまざまな災害をともなう可能性が高まります。また、
海岸付近では高波にも警戒が必要です。

急速に発達するため、台風よりも状況の悪化が速いこともありますので、避難場所を決め、避難訓練を行い手順や避難経路を確認しておく等、普段から対策を講じておくことをおすすめします。


また、注意報・警報などの情報をこまめに確認して、状況をしっかりと注視することが重要です。



■さいごに
今回は、「爆弾低気圧」についてお伝えしました。
冒頭でもお伝えした通り、春は暖かく美しい風景のある季節であると同時に、気象的には多くの危険が発生する時期です。

後悔しないように、早めの対策を心がけて安全で安心な春を迎えましょう!

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