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【土木・建築 施工監理者向け】建設現場での悪天候による作業中止基準の設定について

2024-07-01

いつも閲覧いただき、ありがとうございます。
今回は、建設業と気象のかかわりについての話題をピックアップしました。

建設業において、大雨や台風などの「悪天候」は作業員の安全や現場の作業計画を脅かす脅威の一つです。

労働安全衛生法でも、

 (悪天候時の作業禁止)
 第522条
 事業者は、高さが2メートル以上の箇所で作業を行なう場合において、

 強風、大雨、大雪等の悪天候のため、当該作業の実施について
 危険が予想されるときは、当該作業に労働者を従事させてはならない。

と定められています。

しかしながら、一言で「悪天候」といっても、人によって受け止め方はさまざまです。

そこで、現場の監理者は「悪天候」とはどのような状態かを具体的な数値や指標で示して作業を中止する基準を設け、全ての関係者が同じ認識でとらえられるようにする必要があります。

では、その基準は、一体どのように設定すればよいのでしょうか?

今回の記事では、建設業における「悪天候」の具体的な定義と、基準値について考えてみます。

※本記事に記載されている情報は、公開されている情報をもとに一般的な基準を整理したものであり、絶対的なものではありません。工事の地域・作業の種類等を勘案し、個別に規定する必要がある点にご留意ください。



目次
1.「悪天候」の具体的な定義は?
2.雨や強風が影響を与える作業の例

3.作業中止基準を設定するための考え方
4.作業現場の気象情報を把握しましょう!


1.「悪天候」の具体的な定義は?

まず「悪天候」の解釈については、労働安全衛生規則そのものではなく、基発(労働基準局からの通達)第101号等に具体的に定義されています。
あまり耳慣れない言葉ですが、「基発」とは、厚生労働省が発行する通達のことを指します。

そこに記載されている悪天候の基準については、以下のようにまとめることができます。


 強風   平均風速10m/s以上
 大雨  一回の降水量50㎜以上
 大雪  一回の降雪量25㎝以上
 地震  震度4以上


たとえば平均風速10m/sの風が吹いている場合、ビュンビュンと風の音が聞こえ、木は激しく揺れたり運転中の自動車のハンドルがとられるなど日常生活にも影響が出てきます。


これをベースにして、基準をより細かく設定していくことになります。
しかしながら、工事の種別や作業、現場の環境など、様々な条件に即した基準を設定していく必要があります。

次項では、作業の例をいくつか挙げてみます。






2.雨や強風が関係する作業の例

土木工事や建築工事では作業内容を中止するなどの工程変更を行う場合があります。

ここでは代表的な作業ごとに、その例をいくつか紹介します。

作業の例 受ける影響(例) 処置・対策(例)
高所作業
クレーン作業
周囲に風を遮るものが少なく、風の影響を大きく受けるため、
クレーン等の倒壊、作業員の転落などの恐れがある
破損防止、逸走防止の措置を行う
コンクリート打設 コンクリート打設中に強い雨が降ると、雨水がコンクリートの表面に混入することでセメントと水の比率(W/C比)が高くなり、適切な水分量が保たれなくなるため、強度が低下する恐れがある 打設中の雨はブルーシート等で養生を行う

※打設後は晴天が続くと急激な乾燥によりひび割れが入ることがあるため、散水などの養生を行う
掘削工事 大雨が降った場合、土壌の崩壊や浸水の危険性が高まる 掘削作業は中断し、適切な排水対策を講じる


このように、作業によって影響がある気象の要素が異なり、またその影響度合いも様々です。





3.作業中止基準を設定するための考え方

作業中止基準を設定する時は、まず雨や風など、「気象」によって現場が受ける影響・被害を想定し、それから方法や数値など具体的なレベルに落とし込んでいくと設定がしやすくなります。


<作業中止基準の設定・運用までの検討イメージ(一例)>




基準を設定した後は、悪天候時の対応について従業員全員に周知・徹底することが重要です。
定期的な安全講習や訓練を実施し、全員が適切な対応を取れるようにしておきましょう。



4.作業現場の気象情報を把握しましょう!

悪天候時の安全対策を策定した後は、天気予報を基にリスクアセスメントを行い、避難場所の確認や必要な保護具の準備ができているかなど、定期的・継続的にメンテナンスを行いましょう。

現場の気象情報を継続的に収集・把握する
ことと、関係者に情報を迅速に共有することが必要不可欠です。

具体的に監理者は、以下のようなタスクを行う必要があります。



4.おわりに
今まで見てきたように、作業中止基準は現場の状況や作業によって細かく定め、全ての関係者がそれに沿った措置を行えるようにしておく必要があります。
しかし、これらを全て日常的にこなすのは大変なものです。

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最後までお読み頂き、ありがとうございました。








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