2024-10-03
いつもご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、港湾作業において用いられている重要な指標についてお伝えします。
現場環境にもよりますが、海上工事は波・風の影響をうけやすく、原価管理や工数管理においては特に天候をしっかりと考慮する必要があります。
そのために、海上工事では重要なキーワードとして「供用係数(きょうようけいすう)」というものがあります。
今回はこの「供用係数」について、ざっくりと見ていくことにします。
目次 1.「供用」とは? 2.供用係数の計算 3.供用係数の考え方 4.最後に |
■1.「供用」とは?
まず、「供用」とは、建設現場に機械設備が搬入された状態を指します。
現場に搬入されてから搬出されるまでの日数を「供用日数」といいます。
また、工期の(準備・後片付けを除く)施行期間には、作業を行う日(稼働日)以外にも、不稼働日が含まれています。さらに、この不稼働日をもう少し細かくすると、以下に分けることができます。
・休日(土日・祝日・年末年始など)
・安全教育等を行う日
・荒天日(気象・海象条件により作業ができない作業不能日)
※他にも、作業内容や地域の事情によって作業を中止する日を含めることがあります。
つまり、1年間(365日)のうち、上の3つを除いた残りの日数が機械設備の年間の「運転日数」となります。
「供用日数」は建設現場に機械設備が搬入されてから(稼働したかどうかによらず)搬出されるまでの日数を指し、「運転日数」は機械設備が実際に稼働する日数を指します。
■2.供用係数の計算
この「供用日数」を「運転日数」で割ることで「供用係数」が算定できます。
国土交通省が作成しているガイドラインには、以下のように算出例が記載されています。
令和3年7月 国土交通省港湾局・航空局「港湾・空港工事の工期の設定に関するガイドライン」より一部抜粋
※ガイドラインは令和3年7月に制定されたものであり、供用係数の数値は現在と異なります。
■3.供用係数の考え方
供用係数は全国の港湾に設定されており、1~9までのランクが付与されています。
簡単に言うと供用係数は、通常の工事に要する期間に荒天等を加味して何日の工期が必要かという事を表したものです。
(例)100日かかる工事を供用係数が3.70の港湾で行う場合、
100×3.70=370
つまり、「通常100日かかる工事に荒天等を加味すると、計算上370日の工期が必要となる」
と算定することができます。そして、「この港湾では370日の工期がかかる」という想定のもと、船舶の損料や船員の労務費などを工事原価に参入していくことになります。
なお、供用係数は毎年改定されている点にご注意ください。
最新の係数については国土交通省HPの「積算基準等に係る情報」で公開されていますので、ご確認ください。
■4.最後に
今回は基本の部分のみピックアップしましたが、国土交通省のHPなどに詳しい情報が載っていますので、興味のある方はぜひ調べてみてください。
供用係数は、人為的に設定できる休日や安全教育日とは異なり、気象・海象が要因となる荒天日が大きく影響します。
そして、荒天日となる日数は気象・海象条件は地域や時期によって大きく変動しますので、現場に即した気象データを収集することが、より正確な工事原価の算定にもつながるといえるでしょう。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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