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前回の
「悪天候による作業中止基準の目安について」という記事の中で、強風(平均風速10m/s)が関係する作業例としてクレーン作業を紹介しました。
今回は、クレーンによる作業等の中止基準となる「平均風速10m/s」について、風の吹き方やどのような影響が出るのかをお伝えするとともに、平均風速や瞬間風速などの違いについても触れたいと思います。
1.「平均風速10m/s」ってどんな状態? 2.「平均風速」「瞬間風速」「最大風速」 「最大瞬間風速」の違いとは? 3.おわりに |
1.「平均風速10m/s」ってどんな状態?風の吹き方は強弱があり、地形や付近の構造物などによって影響を受けることもありますが、気象庁では「平均風速10m/s」を予報用語*では「やや強い風」と表現しています。
*気象庁が発表する各種の予報、注意報、警報、気象情報などに用いる用語
「やや」と言われると、何となく「あまり大したことはないのではないか?」という印象を持つ人もいるかもしれませんが、油断は禁物です。
具体的には、以下のような影響が出るとされています。
速さの目安 |
人への影響 |
屋外・樹木の様子 |
走行中の車 |
建造物 |
一般道路を走る自動車 (時速約50km/h) |
風に向かって 歩きにくくなる 傘がさせない |
樹木全体が揺れ始める 電線が揺れ始める |
道路の吹流しの角度が水平になる 高速運転中では横風に流される感覚を受ける |
雨どいが揺れ始める |
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このように、私達の普段の生活においても転倒、事故を始めとする様々なリスクが高まります。
ましてや、屋外で使用し風の影響を特に受けやすいクレーンは、強風により倒壊することで大きな被害を招くおそれもあります。
作業中止基準だけでなく、国土交通省の定める「クレーン等安全規則 第31条」では、
「瞬間風速30m/sを超える場合は、逸走防止の措置を講じなけれなばらない」とも規定されています。
この逸走防止措置の基準は、「平均風速」ではなく「瞬間風速」が基準であることに注意が必要です。それでは、この2つの違いは何でしょうか?
次項では、改めて整理してみたいと思います。
2.「平均風速」「瞬間風速」「最大風速」「最大瞬間風速」の違いとは?天気予報などで、「平均風速は...」「最大瞬間風速が...」という言葉はよく耳にします。
しかし、それぞれがどういうものかという点は中々知る機会がありません。
ここでは、簡単にそれらの違いについてまとめてみました。
まず、気象庁の発表する各種情報でみられる「風速」とは、地上約10mの高さで観測され、0.25秒ごとに更新されています。その観測値をどのように見るかで、以下のような分類を行うことができます。
平均風速 |
観測している風速の、10分間の平均値です。 天気予報で単に「風速」という場合は、この平均風速のことを指します。 |
最大風速 |
ある時間帯または期間の瞬間風速の平均風速のうち、最大の値を指します。 |
瞬間風速 |
観測している風速の、3秒間の平均値です。 (平均)風速の1.5倍から3倍程度に達することがあります。 |
最大瞬間風速 |
ある時間帯または期間の瞬間風速のうち、最大の値を指します。
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冒頭でもお伝えした通り、作業中止基準では平均風速を用いることで、作業員が現場で持続的に風から受けるリスクを想定し、作業員の安全を確保します。
一方、クレーンの逸走防止措置基準の例では、平均風速ではなく瞬間風速を用いることで、突発的な強風によるクレーンの倒壊を想定し、逸走を防ぎ重機・現場の安全を守るための措置を講じる訳です。
各数値にそれぞれの意味があることも押さえておくと、今後の気象情報の見方も変わってくるかもしれません。
3.おわりに平均風速10m/sが改めてどのような状況かを認識し、風速にも様々な種類・用途があるという点を押さえておくことで、今後の作業判断や対策もよりイメージしやすいものになります。
また、風だけでなく、気象は常にめまぐるしく変化します。
普段から身の回りの気象情報を把握しておくこともあわせてお勧めします。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。