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「昔より暑い」は本当?猛暑日と熱帯夜から考える夏の変化

2026.7.1

「昔より暑い」は本当?猛暑日と熱帯夜から考える夏の変化

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「最近の夏は、昔より明らかに暑くなった」と感じる人は多いのではないでしょうか。日中は外に出るだけで危険を感じるような暑さになり、夜になっても気温が下がらず、寝苦しい日が続くことも珍しくありません。

では、この体感は実際の気温データにも表れているのでしょうか。この記事では、1996年から2025年までのおよそ30年間について、「猛暑日」と「熱帯夜」の日数に注目して、夏の暑さがどのように変化してきたのかを見ていきます。

あわせて、大都市の地点群と、都市化の影響が比較的小さい地点群を比べることで、広い範囲で進む気温上昇と、大都市に特有の局地的な気温上昇の影響を分けて考えていきます。今回の検証だけで原因を厳密に切り分けることはできませんが、猛暑日や熱帯夜の増加を、地球温暖化と都市化の両面から見るための手がかりになります。

1. 猛暑日と熱帯夜の定義知ってますか?
2. 猛暑日の年間日数の推移から見える変化
3. 熱帯夜日数の推移から見える変化
4. 暑くなっている原因:地球温暖化とヒートアイランド
5. まとめ 出典

猛暑日と熱帯夜の定義を知っていますか?

まず、この記事で注目する「猛暑日」と「熱帯夜」について確認しておきます。

猛暑日とは、日最高気温が35℃以上となった日のことです。真夏日よりもさらに厳しい暑さを示す言葉で、熱中症などのリスクも高まりやすくなります。つまり、猛暑日日数の変化を見ることで、昼間の危険な暑さがどの程度増えているのかを把握しやすくなります。

一方、熱帯夜は、夜間の最低気温が25℃以上となるような寝苦しい夜を指します。この記事では、日最低気温が25℃以上の日を熱帯夜として扱います。熱帯夜が多いということは、昼だけでなく、夜になっても気温が下がりにくい状態が続いていることを意味します。

猛暑日は「昼の暑さ」、熱帯夜は「夜の暑さ」を見る指標です。どちらも増えていれば、日中の厳しい暑さだけでなく、夜間の寝苦しさや体への負担も大きくなっている可能性があります。

定義

何を見る指標

影響

猛暑日

日最高気温 35℃以上

昼の暑さ

熱中症などのリスク

熱帯夜

夜間の最低気温が25℃以上

夜の暑さ

夜間の寝苦しさなど生活の不快感

※2026年4月17日、気象庁は日最高気温が40℃以上となる日の名称を「酷暑日」と定めましたが、本記事では1996~2025年を対象とするため、従来から使われている「猛暑日」を中心に見ていきます。

猛暑日の年間日数の推移 やっぱり猛暑日は増えている

この図は、1996年から2025年までの猛暑日日数について、大都市11地点の平均と、都市化の影響が比較的小さい13地点の平均を比べたものです。以下では、それぞれ「大都市地点」「都市化の影響が小さい地点」と呼びます。

※大都市地点は、気象庁がヒートアイランドの観測データで用いている札幌、仙台、東京、横浜、新潟、名古屋、京都、大阪、広島、福岡、鹿児島です。一方、都市化の影響が小さい地点は、「日本の気候変動2025」で猛暑日や熱帯夜などの長期変化を見る際に用いられている網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、銚子、境、浜田、彦根、多度津、名瀬、石垣島です。

年ごとの値を見ると、猛暑日日数は年によって変動するため、1年だけを見て「暑くなった」「暑くなっていない」と判断するのは適切ではありません。

そこで重要になるのが、5年移動平均や長期的なトレンドです。これらを見ると、1996年以降、猛暑日日数は大都市地点、都市化の影響が小さい地点のどちらでも増加傾向が見られます。特に2020年代に入ってからは、猛暑日の多い年が目立っており、近年の夏の厳しさがグラフにも表れているといえます。

また、大都市地点では、都市化の影響が小さい地点よりも猛暑日日数が多くなりやすい傾向が見られます。地点ごとの地域差や、年ごとの天候の違いもあるため、この差だけで原因を完全に説明できるわけではありませんが、大都市では都市化による局地的な気温上昇も関係している可能性があります。

昔の方が寝やすかったかも? 熱帯夜日数の推移から見える変化 

次に、熱帯夜日数の推移を見てみます。熱帯夜は、夜になっても気温が下がりにくいことを示す指標です。日中の暑さとは違い、睡眠や体調への影響と結びつきやすく、生活実感として「昔より夏がつらくなった」と感じる大きな要因になります。

グラフを見ると、熱帯夜日数についても、1996年以降は長期的に増加傾向が見られます。猛暑日と同じように、年ごとの変動はありますが、5年移動平均やトレンドを見ると、近年ほど高い水準になっていることが分かります。

特に大都市地点では、夜間の気温が下がりにくく、熱帯夜が多くなりやすい傾向があります。これは、建物や道路が日中に熱をため込み、夜になっても熱が放出され続けることや、人工排熱、緑地や水面の少なさなどが関係していると考えられます。

一方で、今回のように都市化の影響が小さい地点でも熱帯夜日数に増加傾向が見られる場合、その変化は大都市特有の現象だけでは説明しにくくなります。大都市に限らない、より広い範囲で気温が上がりやすくなっている影響も考えられます。

暑くなっている原因:地球温暖化とヒートアイランド

では、なぜ猛暑日や熱帯夜が増えているのでしょうか。

広域的な背景として考えられるのが地球温暖化です。地球全体の平均気温が上昇する中で、日本の夏の気温にも影響が及び、猛暑日や熱帯夜が増えやすくなっていると考えられます。

また、大都市では都市化の影響も無視できません。これが、いわゆるヒートアイランド現象です。アスファルトやコンクリートは日射による熱を蓄えやすく、緑地や水面の減少は水分の蒸発による冷却効果の低下につながります。さらに、自動車やエアコンなどからの人工排熱や、風通しを悪くする高層ビル群の存在も、ヒートアイランド現象の主な要因となります。これらの条件が重なることで、都市部では日中に熱がたまりやすく、夜になっても気温が下がりにくい状況になります。

ここで注意したいのは、地球温暖化とヒートアイランド現象は別の現象だということです。ヒートアイランド現象は、主に都市とその周辺で起こる局地的な現象であり、地球全体の温暖化そのものを引き起こす主な原因ではありません。

一方で、大都市に住む人々の体感としては、地球温暖化による広域的な気温上昇に、都市化による局地的な気温上昇も重なります。そのため、大都市では「昔より暑くなった」という変化を、より強く感じやすいと考えられます。

今回の検証では、地球温暖化と都市化の影響を厳密に分けているわけではありません。しかし、大都市地点と都市化の影響が小さい地点を比べることで、夏の暑さの変化には複数の要因が重なっていることが見えてきます。

まとめ

1996年から2025年までの推移を見ると、猛暑日日数・熱帯夜日数はいずれも増加傾向が見られます。特に近年は高い水準の年が目立ち、夏の暑さが厳しくなっている様子がグラフにも表れています。

最近の夏が昔より暑く感じられる背景には、地球温暖化による広域的な気温上昇と、大都市で強まりやすいヒートアイランド現象の影響が重なっていると考えられます。今回の比較は、それぞれの影響を厳密に分けるものではありませんが、夏の暑さがどのように変化してきたのかを考える手がかりになります。

総務省消防庁の統計によると、2025年度の熱中症救急搬送者数は2008年の調査開始以降で初めて10万人を超えており、今後もますます厳しい暑さが予想されます。

熱中症対策をしっかりと行い、夏を乗り切りましょう!

<出典>

・ 気象庁|ヒートアイランド現象 ・ 気象庁|ヒートアイランド監視報告
・ 気象庁・文部科学省|日本の気候変動2025 ・ 気象庁|猛暑日・熱帯夜などの用語解説 ・ 気象庁|過去の気象データ検索

※本記事のグラフは、気象庁「過去の気象データ検索」による1996~2025年の日別気温データをもとに作成しました。大都市地点は気象庁のヒートアイランド関連資料で用いられている地点、都市化の影響が小さい地点は「日本の気候変動2025」で用いられている地点を参考にしています。

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