「えっ?まだ春なのに熱中症?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、5月頃から熱中症の搬送が増えることを考えると、今から準備を始めて早すぎるということはありません。
このような傾向があることから、今年もしっかり熱中症対策について準備しておく必要があります。
まずは熱中症の対策を考えるときに重要な指標である
「暑さ指数(WBGT)」について今回はご紹介したいと思います。
目次 ■「暑さ指数」とは? ■「暑さ指数」の有効性 ■「暑さ指数」の目安 ■さいごに |
■「暑さ指数」とは?まず、「暑さ」を考える上で重要なポイントがあります。
普段、暑さを考えると気温が高いというイメージが強いのですが、
暑さの原因は「気温」だけではないということです。
普段生活している中で、ひと口に暑いといっても、カラッと暑かったり、蒸し暑かったりと、色々な暑さを感じることがないでしょうか?
それもそのはず、暑さに影響しているのは、
「気温」「湿度」「輻射(ふくしゃ)熱」だからです。
それぞれどのようなものか、下にまとめてみました。
気温 |
通常は地上1.25m~2mの大気の温度を指します。
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湿度 |
空気中に含まれる水分の割合です。 高いほど汗が蒸発しにくくなり、体温が下がりにくくなります。
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輻射熱 |
温度の高い方から低い方へ熱が移動する現象(輻射)によって発生する熱です。 日射が暖かいと感じたり、たき火に手をかざすことで温まったりするのはこの熱が原因です。 冬場はヒーターとして活用できますが、夏場はアスファルトの照り返しなどで暑さをもたらします。
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暑さは、この3つの要素によって大きく影響をうけます。それを
1(気温):7(湿度):2(輻射熱)の割合で計算したものが「暑さ指数」といわれるものです。
これによって算出された数値が、熱中症のリスクをより適正に教えてくれる、というわけです。
■「暑さ指数」の有効性では、「暑さ指数」の話に戻ります。
「気温」だけの場合と、「暑さ指数(WBGT)」で見比べた場合、どのような結果の違いがあるのでしょうか?
実際のデータに基づく検証結果が公開されているので紹介します。
下記の図は、東京のある地点における2つの日について、熱中症搬送者数を比較したものです。
上から見ていきましょう。
7月18日の方が気温が高いので、一見、熱中症リスクは8月15日よりも高いように見えます。
しかし、下を見ていくと、WBGT(暑さ指数)は8月15日の方が高くなっています。
これは、8月15日は気温こそ7月18日より低いものの、湿度や日射量(輻射熱)は高いためです。
そして、実際の熱中症による搬送者数は8月15日の方が2倍近くだったことが分かります。
(環境省) (https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_ex.php)を一部加工気温だけを見て「そんなに高くない」と思っていたら、熱中症になってしまったという人もいるかもしれません。
このように、
暑さを気温だけでなく、様々な要素でとらえることはとても重要です。
■「暑さ指数」の目安